ペンケースとメイクポーチ

断捨離

中学生の頃、ばくだんおにぎり2個分ぐらいの大きさのペンケースを持っていた。
何が入っていたかというと、シャーペン2本、細いボールペン5本、太いサインペン3本、蛍光ペン4本、ラメ入りのペン3本。合計17本。
さらに、修正テープと消しゴムと定規。
全部使っていたのかというと、当然使っていない。

高校生になり、ペンケースはポケットティッシュ2個分ぐらいの大きさになった。
必要なペンが取り出しにくいことに不便を感じ、使うものだけを持ち歩くことにしたのだ。
すると、シャーペン、ボールペンの赤、青、蛍光マーカー1本、消しゴムと定規。
これで充分だった。
荷物は少なくなったかというと、なっていない。
ペンケースが小さくなってできた鞄の隙間には、メイクポーチという新アイテムが入った。

大学生になり、ペンケースはホームランバー1本分ぐらいの大きさになった。
ペンを持ち替えることが面倒に感じ、三色ボールペンにシャーペンがついているもの1本と消しゴムと定規だけになった。
小さくなるペンケースの代わりにメイクポーチは膨らみ続け、ばくだんおにぎり2個分ぐらいの大きさになった。

社会人になり、ペンケースはなくなり、三色ボールペン1本になった。
メイクポーチはポケットティッシュ2個分ぐらいの大きさになった。
必要なコスメが取り出しにくいことに不便を感じ、使うものだけを持ち歩くようにしたのだ。

仕事を辞めて、メイクポーチもなくなり、リップ1本になった。

実はペンもコスメも、持ち歩かなくなっただけで、まだ家にある。

机の引き出しから、久しぶりにばくだんおにぎり2個分のペンケースを出した。
ペンを一本ずつ手に取り、スマイルマークを描いた。
掠れても掠れなくても、描いたらゴミ袋に入れた。
ずらっと並んだカラフルなスマイルを見て、何をそんなにカラフルにしたかったのだろうと思った。

ばくだんおにぎり2個分のメイクポーチもひっぱり出した。
緑、紫、ピンク、オレンジ、青、カラフルなアイシャドウが出てきた。
もっと素敵になりたかったのか、自分じゃない何かになりたかったのか、今はもう思い出せない。
ポーチごとゴミ袋に入れた。

あの頃の自分が、今の自分を見たら、どう思うだろう。
当時夢見たカラフルさは、手離してしまった。

振り返ると、ペンが減るたびに、コスメが増えていた。
ペンもコスメもほとんど持ち歩かなくなった今、何が増えたのだろう。

持ち歩くペンが少なくなるほど、文字が書きやすくなった。
持ち歩くコスメが少なくなるほど、私は私でいいと思えるようになった。
リップ1本でどこへでも行ける今、世界がカラフルに見える。

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